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最高裁判所第一小法廷 昭和52(オ)689 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人酒井正利、同酒井幸の上告理由第一の一について

所論別件訴訟における上告人らの請求原因は、上告人らが本件被上告人の構成員

たる地位(地下前)に基づき、昭和三〇年度及び同三一年度(上告理由書には「昭

和三一年及び同三二年」と記載されているが「昭和三〇年度及び同三一年度」の誤

記と認める。)の両年度において、その共同財産である山林の立木を売却して獲得

した収益金の配当を求めるというものであり、右別件訴訟における上告人ら勝訴の

確定判決が、その理由中において、上告人らが被上告人の構成員たる地位にあり、

いわゆる地下前を所有することを確認していても、判決自体は右訴訟の訴訟物であ

る上告人らの昭和三〇年度及び同三一年度分の収益金配当請求権の有無について既

判力を生ずるにすぎず、その前提問題である上告人らが被上告人の構成員たる地位

(地下前)を有することについて既判力を生ずるものではない。これに対し、本件

訴訟における上告人らの本訴請求原因は、上告人らが被上告人の構成員たる地位(

地下前)に基づき、昭和二七年度ないし同三七年度までの各年度のうち、右別件訴

訟に係る昭和三〇年度及び同三一年度の二年度並びに昭和二九年度を除外したその

余の八年度に、その共同財産である山林の立木を売却して獲得し、構成員全員に分

配すべき各収益金の配当を求める、というのであり、別件訴訟とは訴訟物を異にす

るものであることが明らかであるから、本件訴訟において上告人らが被上告人の構

成員たる地位(地下前)を有するとの上告人らの主張が認められず、これを前提と

する上告人らの右請求が理由がないとして排斥されても、別件訴訟の確定判決の既

判力と抵触する判断をしたことになるものとはいえない。原判決に所論の違法はな

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く、論旨は採用することができない。

同第一の二について

記録によれば、本件においては、上告人らは、本訴請求として、上告人らは本件

共同財産を共同して使用収益等をなすことを目的として組織された団体である被上

告人の構成員であると主張し、右構成員の地位に基づき、被上告人が特定年度にお

いて本件共同財産である山林の立木の売却により獲得し、慣習により右団体の構成

員全員に平等に分配すべきものとされている収益金の配当を求めたのに対し、被上

告人は、上告人らが被上告人の構成員たる地位を有することを争い、上告人らの主

張する右配当請求権の存在を否定するとともに、反訴請求として、被上告人が本件

共同財産につき共有の性質を有する入会権を有し、上告人らが被上告人の構成員で

ないことの確認を求めたものであることが認められる。これによつてみると、上告

人らと被上告人との間の紛争は、専ら上告人らが被上告人の構成員として本件共同

財産の使用収益につき一定の権利を主張しうる地位を有するかどうかにあるのであ

つて、上告人らは被上告人の本件共同財産に対する使用収益の基礎となる権利の存

在自体を争つているわけではなく、右の権利が共有の性質を有する入会権であるか

それとも被上告人の構成員全員の共有又は合有の性質を有する権利であるかは、本

件においては、専ら上告人らが被上告人の構成員たる地位を有するかどうかとの関

連において問題とされているにすぎないと考えられる。そうすると、上告人らが被

上告人の構成員でないことが判決によつて確定される限り、被上告人は上告人らと

の間で被上告人の有する本件共同財産に対する権利が共有の性質を有する入会権で

あることの確認を求める特段の必要ないし利益はないわけであるから、このような

事情に照らして考えると、被上告人の前記反訴請求は、一見右の前者、すなわち上

告人が被上告人の構成員でないことの確認の請求のほか、これと併せて後者、すな

わち被上告人が本件共同財産につき入会権を有することの確認の請求をもしている

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ようにみえるけれども、被上告人の反訴請求の主眼は専ら前者の確認を求めるにあ

るのであつて、後者の権利に関する部分は、それが前者の請求の成否と密接な関連

を有するところから言及されているにとどまり、特にこれについて前者の請求と併

列的な別個独立の請求として判決を訴求する趣旨に出たものではないと解するのが

相当であり、原判決中右権利の確認をするようにみえる部分もこれと同様に解すべ

きものである。(なお、入会団体の構成員であるかどうかの決定は、入会権そのも

のの存否には影響を及ぼすものではないから、右の決定は入会権の管理に属する事

項であつて、これに関する訴訟については、当該入会団体の構成員全員が当事者と

なる必要はなく、これから管理権を与えられた者において提訴又は応訴についての

特別の授権なくしてこれに関する訴訟の当事者となりうる資格を有するものと解す

べきであり、したがつて、本件においても被上告人に前記請求に関する訴訟の当事

者適格を否定すべき理由はない。)

そうすると、論旨は結局判決の結論に影響を及ぼさない事項についてその不当を

主張して破棄を求めることに帰し、採用の限りではない。

同第二及び第三について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし

て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審

の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ

とができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意

見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 谷 口 正 孝

裁判官 団 藤 重 光

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裁判官 藤 崎 萬 里

裁判官 中 村 治 朗

裁判官 和 田 誠 一

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